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- 国内外のまちづくり
2021.09.27 | テスト
何故、ドイツの環境・景観は美しいのでしょうか? それは、ドイツの産業化が、日本よりも100年早く始まっていることが大きな理由とされています。というのも、産業化が早い国では、環境汚染という課題が挙がるのも早いからです。
ドイツは長年、環境汚染を重要な政治的課題として取り組んできており、30年以上の経験もあります。またドイツには電柱がほとんど存在しません。まず一目でわかる美しさがあります。それほど地中化の効果は大きいのですね。
3段階あるとされているドイツの環境問題への取り組みについてご紹介します。 1)すでに受けているダメージをできるだけ元の状態に戻すということ 2)社会的にも個人的にも、経済活動・生活において環境汚染を未然に防止・予防する態度 3)ただ経済的に環境を見るのではなく、全ての社会層がこの環境問題を共有し、文化的な問題・人間のモラルと考え、「環境は我々の自然的生存基礎である」という政治的な合意を形成すること
ドイツの段階は2)まできています。 そこには「競争力」という原動力ともいえるものが存在し、街の人たちは競って美しい街並を形成し、その美しさを重視する傾向にあります。 日本は現在1)にあてはまります。(信州大学飯田教授の日独セミナー 「都市景観計画」より引用) しかしこれから、人々が自意識を持ち、活動することでドイツと同じ道をたどっていけるに違いありません。
では、ドイツの人たちの景観に対する想いが十分伝わってくる3つの記事を御紹介したいと思います!
ドイツ人の友人が、屋敷を取り囲む木々が全て自分のものであることを 自慢に思っていました。ある日、隣の庭の小屋の壁が塗り替えられた。壁の色が派手だったので、落ち着いた木立の景観にそぐわないと感じた友人は隣人に「目障りだ」と苦情を申し出ました。すると隣人はすぐさま壁を目立たない色に塗り替えました。裁判になれば、勝ち目がないと判断したからなのです。
ドイツで日本からの衛星放送が始まったとき予想に反してドイツ社会に衛生放送は普及しなかったと言われています。その理由は、日本人が住むマンションに衛星放送を受信するアンテナの取り付けを家主が許さなかったから、ということです。屋根や外壁に丸いアンテナを取り付けることは景観が台無しになるというのがドイツ人家主の言い分でした。
ドイツの住宅の窓枠は美しい木製が多く、日本で見られるような殺風景なアルミサッシは見かけることがまずないのです。アルミサッシは建物の外観が良くないことと、断熱性が低いためにあまり普及していないという性質があります(町によっては使用が禁止されているとのこと)。
ドイツ・デュセルドルフ市内のマンションの隣接地が平面駐車場に利用されることになりました。このときマンションの上階住人から窓から見える景観が損なわれるという訴えが起こされました。和解の話し合いが行われた結果、駐車場の上部を金網で被い、金網にはつる性の植物を這わせることとなったのです。
地中海に行けば屋根や壁だけでなく窓枠の色も統一されている場合が多いことに気が付かれた方も多いと思います。政府の指示で窓枠の色はブルーとし、時期を定めて一斉に塗り替える(フランスの影響が強いアルジェリアでの話)。政府がこのような指示を出すことに対する適否は別として、「個々の建物は周囲の景観にあわせなければならない」という社会意識は徹底しています。こうしてはじめて、美しい町並みが保たれます。
これらの話をみていると(特に2つ目の話)、環境対応は弱者保護等も同様でありますが、それ単独の施策では効果が出にくいと考えられます。社会的な教育によって共同社会におけるモラル、倫理観を高める必要があるわけです。所構わず張り巡らされた電柱・電線が許されている日本の社会は、公共交通機関の中で弱者優先座席が平然と無視されているのと同様、モラル・倫理観の低い社会である現われではないのでしょうか。日本は経済大国にもかかわらず、意識の問題でこうも遅れをとってしまう現状が存在することを認知することが必要でしょう。美しい景観は、我々が意識を高めることも同じように重要なのです。
このお話をしていただいたのはNPO法人電線の無い街づくり支援ネットワークNPO理事山本氏です。 環境・景観コンサルタント、アースクリエイト株式会社の主任研究員 著書:「環境マネジメント ハンドブック」(共同執筆・日本工業新聞) :「100万本の海の森」(マングローブ植林関連・共同参画)
フライブルグは、環境保護の活動や交通整理、街並みづくりに力を入れており、先進国でも有数のきれいな街並みをもつことで有名です。 ここはドイツの中でも南に位置し、フランクフルトから特急電車で約2時間の町。 フランス・スイスの国境に近くにあります。 人口約20万人のうち3万人が学生であり、町中の活気を感じました。 フライブルグは1992年に「自然と環境の保全に貢献した連邦都市」の指定を受けてから世界的な環境施策都市として有名になりました。
環境施策としては、 ①行政組織 ②自然保護 ③交通 ④ゴミ処理対策 ⑤広報活動 ⑥エネルギー ⑦エコロジカル・インフラ の7つの重点施策を行っています。
このように環境に配慮したまちづくりを行っており環境に優しく機能的なまちというイメージが浸透していますが、 私がびっくりしたのは見た目に関してもものすごく美しい町であるということです。 普通日本なら商店街のような繁華街を一歩でるとボロボロの見るも無残な住宅地がたくさんあります。 でもフライブルクはどんな小さな路地に入っても本当に美しい。 なぜでしょう?
やはり住宅地に関しても電線類地中化がおこなわれています。小さなまちにでも景観形成がしっかり徹底しているのです。日本との違いは、やはりドイツの役所がしっかり都市景観政策を推し進めていることにあります。自然と景観を人間の生活の基礎と位置づけているため、細部まで自然保護、景観保全を重視したまちづくりが行われています。
路面電車がまちの中心にあり、住宅地の道路側には自分が家庭菜園できる畑、散策できる森が全て10分足らずのところで行けてしまいます。 日本は経済成長のみを重視するあまり、便利なようだが逆に不自由な生活なのかもしれません。 本当に住みよい場所というのは、経済が豊かで物質的に満足した生活が送れる場所か、不便だが自然がたくさん残っており景観が美しく精神的に充足する場所どちらか選択するものだと思っていました。 しかし今回視察にドイツ、特にフライブルクに行って感じたのは、どちらも満たす場所は存在するということです。
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