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2017.09.01 | テスト

無電柱化住宅に積極的に取り組む先進企業のご紹介とインタビュー

電線地中化(無電柱化)に積極的に取り組む不動産デベロッパーをご紹介します。

自社物件の開発に併せて、自費で既存周辺道路(区道)の電線地中化

『電柱のない街並みの経済効果』(住宅新報社)で事例紹介されている、ペンブローク・リアルエステート・ジャパンは、自社物件の開発に併せて、自費で既存周辺道路(区道)の電線地中化に取り組んでいる外資系企業です。


事業戦略

その事業戦略は、同社の理念である「ペンブロークは、プライベートエクィティを長期的な価値が見込める優良物件に投資し、地域社会の活性化につながるような永続的価値のあるプロェクジェクトを推進することを理念としています。 不動産価値の創出を通じて、当社はテナント、投資家、そして事業を展開する地域社会に貢献します。」に現われている。
こうした不動産価値の向上と周辺地域の活性を事業戦略に位置付け、電線地中化(無電柱化)を推進している企業はまだ少ないと思われる。

現状の枠組みを乗り越えた、積極的な取り組み

公道の電線地中化(無電柱化)が公共工事の範疇になり、民間企業の意思だけでは、電線地中化しにくいという現状の枠組みがある。また、コストが要請者負担ということも、不動産デベロッパーが電線地中化に踏み切れない要因であろう。
そんな中で、こうした現状の枠組みを乗り越えて、電線地中化(無電柱化)に積極的に取り組む不動産デベロッパーがある。岐阜県に本社を置く株式会社全農林だ。
代表取締役の渡辺幸雄社長に話を聞いた。

質問1、御社の住宅へのこだわりはなんですか?

回答1、この中部地域も、東南海地震などが予想されることを踏まえて、建物自体も免震、耐震構造のモノを取り入れている。震度7強の地震でも対応できるように備えている。しかし、いい住宅を作っても災害時に電柱が倒壊して、何千ボルトの電線が垂れかかってくる危険がある。万が一の時に、お客様が困る住宅はダメだと思う。それで電線地中化(無電柱化)にしている。

質問2、なぜ、電線地中化(無電柱化)しようと考えられたのですか?

回答2、当社の建物の設計士が神戸の方。その先生に阪神淡路大震災当時の様子を聞いた。かなり揺れて、家が傾き、隣の家の2階がうちの家の2階に乗っかってきた、と話していた。幸い無事だったそうだが、近所の誰が無事なのかがすぐにはわからない状況だった。そういう話を聞く中で、住宅は地震に強く、電柱も無い方がいいと思った。その後、業界紙で関東の大手ハウスメーカーの電線地中化(無電柱化)の取り組みを見た。特徴を持ったことをデベロッパーとして、やりたいと思った。これから成熟したまちづくりをするにあたって、ただ、造成して、擁壁を造って、電柱を建ててということではなく、安全なまちなみや、安心な通信設備、そしてエコなどを考えて、電線地中化(無電柱化)を取り組んでいこうと思った。自分の身体や家族を守り、家に居れば安全というコンセプトだ。

質問3、計画されるにあたって、苦労されたことは?

回答3、いっぱいあります(笑)。まず行政の対応。電線地中化(無電柱化)を中部地方で先発して取り組んでいるので、行政の担当者は電線地中化についてあまり理解していないし、情報がない。なかなか、新しい取り組みを役所はやりたがらない。何回相談しても、電線地中化(無電柱化)に関しては情報がないということで断られた。結果的には、国交省の要請者負担の無電柱化推進に関する通達を入手。それを元に再交渉して、条件付きながら、移管に応じてもらうことができた。
もう一つは、電線地中化の材料が思うように入手できないことだ。仕入れるルートがなかったり、どれにしたらいいのかわからなかった。当然、値段も高かった。
そして、コスト。最初は電力会社やNTTと何度も打ち合わせした。こちらは電線地中化(無電柱化)についてまったく素人だった。先方にしたら、赤ん坊に話をするのと同じだったのだろう。今考えると笑い話だ。当初中部電力に電線地中化の見積を出してもらったら、億単位のとんでもない金額だった。ただ、電線地中化しようという情熱だけは強かった!彼らと何回も交渉する中で、こちらの要望はすべてはじき返された。そんな中、NPO法人電線の無い街づくり支援ネットワークを見つけて、協力してもらい、コスト削減することができた。

質問4、電線地中化(無電柱化)のコスト削減の秘訣は何ですか?

回答4、電力会社とコミュニケーションアップしたことが大きい。相互理解することで、こちらの要望も受け入れてもらえるようになった。その他、色々あるが、自分たちでできることは、自分たちでやることだ。そして、電力会社にやってもらうことを極力減らす。ガードマン、土木工事も電力会社よりも自社でやった方が安い。ケーブルの配線等は難しいが、できることはやる。そういったことの積み重ねが大きい。材料についても、色々な種類があるので、行政や電力に交渉して安価な材料の承認をお願いしている。

質問5、新設電柱を原則禁止する電線地中化(無電柱化)推進法案が今国会で成立予定ですが、御社の事業戦略にどういった影響があるとお考えですか?

回答5、今後も、当社は、自社物件で取り組みしていくが、愛知県下でも、電線地中化(無電柱化)はほぼ無い状態。当社がぐいぐい進めていききながら、他社さんも追随してもらうようなればと思う。同業他社でも、電線地中化に興味あれば、できることは教えていく。そうすることで、技術が進み、コストが下がればいいと思う。デベロッパーにはぜひ、電線地中化(無電柱化)に興味を持ってほしい!そして、電線地中化がコンプライアンスの域にまでなればと思う。


渡辺社長の話から、並々ならぬ決意で、電線地中化(無電柱化)を自社の事業戦略の中核に位置付けて取り組んでいることがわかる。昨年8月に販売開始した、無電柱化住宅第2弾の「ピュアステージあま木折Ⅱ」(愛知県あま市 31区画)は、モデルルームを残して、昨年末に完売したという。従来の住宅よりも早く売れたとのこと。ここでは、当初の電線地中化(無電柱化)費用の1/3にまでコスト削減に成功している。特筆すべきは、電線地中化コスト高の元凶である、地上設置型トランスを当初の4基(約400万円/基)を1基に減らしたことだ。これは、敷地外に電柱を新設して対応した。また、既存道路にあった電柱を、周辺住民にも協力をしてもらい撤去した。こうして、既存道路も含め、敷地内の完全電線地中化(無電柱化)が実現した。

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