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- 国内外のまちづくり
2017.10.19 | テスト
今井町は奈良県橿原市にある江戸時代の町並みが残っている町で、重要伝統的建造物群保存地区に選定されています。
1386年に興福寺の荘園として誕生し、中世の集落を参考に、周囲には堀が巡らされています。江戸時代には近くに住んでいた多くの商人が今井町に移り住み、あらゆる商売が行われる商業都市に発展し、「海の堺、陸の今井」や「大和の金は今井に七分」などと言われていました。
実は日本には、今井町のような昔ながらの町が残っているところは案外少なく、時代の変化とともに、古い町屋は消え、ビルや住宅地に姿を変えているのが実情です。しかし今井町に行くと、室町時代にタイムスリップしたかのような感覚を覚えます。現在でも大半が伝統的な町屋で、今西家をはじめとする8軒が重要文化財に指定されています。 今井町の担当者さまのお話しによれば、今井町は観光地ではないそうです。歴史的な町並みを見て楽しむためではなく、保存することに重きを置き、伝統を未来に残すために市をあげて保存活動を行っています。なので、おみやげ屋さんや宿泊施設などがあるわけではなく、昔ながらの豆腐屋さんや酒屋さんがあり、昔ながらの町並みをそのまま残しています。
今井町は寺内町なので、町の外と中がはっきり分かれています。 無電柱化(電線地中化)が中にしか施工されていないので、最初外から見たときは「“電線、あるじゃん”」と思ってしまいました。
ふとある路地を見ると、電線がありませんでした。 そこには最高にきれいな昔ながらの町並みが広がっていました。 電線類地中化が施工された道に入ると…それまで曇りのようだった雰囲気に、光が差し込んで明るい晴れやかな町に変わりました!!
今井町で町並みを守る運動が起きたのは1955(昭和30)年頃で、住民組織が結成されました。1975年~1988年には住民と行政が一体となって、今井町の町づくりの視点で調査や話し合いが行われ、歴史的景観を取り戻すため、無電柱化(電線地中化)が検討されるようになりました。
初めは、道路幅員が狭い、地上機器を置くスペースがない、費用負担ができない、という理由で電力会社の同意が得られず地中化はできないと判断されていました。しかし、1994年に全体費用の1/2の金額の補助を国から受けることが認められ、無電柱化ができるようになり、1995年から10年かけて約2.3kmの無電柱化が完了しました。
今井町で無電柱化(電線地中化)をしたことでどのような変化があったのか、今井町並み保存センターの方にインタビュー調査を行いました。
■ 大変だったこと 新規需要が増えた場合、無電柱化後に線の引き込み工事を行なうことになります。今井町の場合、伝統的建造物群保存地区のため、新規需要が増えることはあまりないと思われたものの、計画段階から将来の需要予測をしっかり立て、引き込み線の工事を行う必要がありました。また、トランスに落雷した際、影響範囲をすぐに特定できなかったということがありました。
■ 無電柱化をして良かったこと やはり、景観が格段に良くなったことです。住民主体の賑わいのあるまちづくりを進めるという目的のためには、必要不可欠だと考えられます。
■これからの課題 『地元の無電柱化の要望が強いが、整備済み路線の地中化については、現在の方法では技術的に困難である』 『工事費が高いので事業の進捗が遅い』 『建替え等の場合、位置変更が原則として困難である』
実際に電線の埋設に携わった現地の方ならではの貴重なお話しを聴くことができ、非常に勉強になりました。 伝建地区でも最大級の歴史的建造物群である今井町は、町の中にいるだけで昔にタイムスリップをしたかのような感覚になります。 機会があればぜひ、無電柱化(電線地中化)された美しい歴史的な町並みの今井町に訪れていただきたいと思います。
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