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- 国内外のまちづくり
2021.11.30 | テスト
景観法について運用の問題が指摘されていますが、まずは、景観はどのような法的手法によって形成・維持されているのか簡単にご紹介します。
「伝統的建造物群保存地区」 当該地区を市町村が住民の意思を尊重しつつ条例その他の方法で指定することができる。 ↓ 当該地区の保存のため必要な措置を定める。 「重要伝統的建造物群保存地区」 市町村の申し出に基づき、伝統的建造物群保存地区の区域の全部または一部で我が国にとってその価値が特に高いものを重点的に国が保護することができる。
「歴史的風土保存区域」 開発行為に対して府県知事への届け出が義務付けられており、府県知事が保存のために必要な助言または勧告をすることができる。
「歴史的風土特別保存地区」 上記の歴史的風土保存区域よりも厳格な規制が設けられている。 たとえば、開発行為には府県知事への届け出は足りず、許可まで必要であったり、助言や勧告にとどまらず不許可処分を命じることもできる。
このように歴史的文化的景観の保全については、国を代表するような価値を持つ景観を選別し、重点的に保護しようという手法をとっています。 そのため、保護対象が狭く限定されたものになってしまうことが問題点の一つとしてあげられるのではないでしょうか。
<参考>国土交通省資料:景観法の概要
景観法について運用の問題が指摘されています。 どういうことかと言いますと、 景観法には、景観権に関する規定がおかれなかったということ、また景観法の規制は、形態意匠規制にとどまるということです。
まずは景観法の条文を見てみましょう。 景観法2条1項には、「現在及び将来の国民がその恵沢を享受できるよう、その整備及び保全が図らなければならない。」とされています。 つまり、国民が、景観を享受する権利を有することまでは示していないのです。
たとえば、参政権と比較して考えてみましょう。 日本国憲法では、国民に政治に参与する権利は認められており、それを根拠に選挙権を認められた国民が投票できたり、あるいは、選挙の候補者となったりできます。 景観法では、市民に対して景観権のような権利を有することまでは示されていないことから、裁判になっても権利の主張ができず、良好な景観をきめ細やかに保護・形成することは難しいのです。
しかし、個人の文化的な生活のために景観保全が重要であるとの認識が高まっていることから、判決では、景観権そのものを肯定する立場はとられていないものの、景観利益が存在し、その侵害があったとして不法行為の成立を認めたものもあります。しかし、その数はごく限られた少数にとどまります。
国立訴訟地裁判決や名古屋白壁訴訟など景観利益侵害を認めた判決においては、 違法性の判断基準として、その地域住民による自己規制と 努力の結果良好な景観が保持されてきたなど 地域における景観の成熟性が必要であることが示されました。 よって、訴訟において景観利益が自己に存すると主張するためには、自治体や地域住民自らの景観保全の何らかの営みや努力が不可欠になってくるものと思われます。そのための1つの手段として、景観を改善する無電柱化も考えられることと思われます。
<参考文献> レクチャー環境法 富井 利安(2007) 名古屋地裁判 平成15・3・31 判例タイムズ 1119号
建築物などの形態や模様、色彩のデザインについての規制ということです。つまり景観法では、それ以外の部分には規制が及ばないということです。その背景には、我が国の土地利用規制は「建築の自由」を前提に考えられており、規制を最小限にしようとしている事実があるのです。 一方、西洋諸国では、建築・開発に対する計画的コントロールが広く及んでいて実質的に建築不自由が原則となっています。
景観法の問題として、日本は景観紛争の発生を未然に防ぐシステムの整備が不十分であると言えるのではないでしょうか!? (例) 1,上記のように景観保全に関する基本法である景観法は、形態意匠規定にとどまっていること 2,良好な景観についての画一的な定義づけを避けており、具体的な規制や施策は各自治体に委ねられていること
そのことを踏まえ、今後は、景観紛争を予防する手段として各自治体において景観法を活用した上で、さらに形態意匠にとどまらない景観を全体として保全するような具体的な規制を行い、また住民自身が主体となって地域におけるルール作りを行っていくことが重要なのだと思います。
無電柱化は景観の向上にも大きく影響しています。景観に関して気になることなどございましたら、お気軽にお問い合わせください。
<参考文献> レクチャー環境法 富井 利安(2007) 土地利用規制と景観法 亘理格(2006)
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