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- 国内外のまちづくり
2017.09.28 | テスト
オーストリアの世界遺産である、ウィーン歴史地区、ザルツブルグ旧市街、ハルシュタットの無電柱化(電線地中化)の街並みをご紹介します。
落書きされたトランス
まず私が訪れたウィーン歴史地区は、その建物ひとつひとつが伝統と継承を余すところなくたたえた荘厳さで、ただ漫然と歩を進めるだけでも、ハプスブルク家の王宮、国立オペラ座、シュテファン大聖堂といった観光名所と出会うことができました。路面電車が市内中を交通しているため架空線はいくつか見られましたが、電柱はほとんど見当たらず、綺麗に広がる青空のもとでのウィーン観光は最高でした。
ただ、心ない若者というのはどこにでもいるようで、それら整備のために設置されたトランスには無残な落書きが目立ちました。おそらく、「ウィーンで最も落書きされやすい工作物」で はないかと思われます。トランス自体には全く落ち度はないものの、落書きの対象となりにくくなるよう小型化を 進めるなど、何らかの対策が必要だと 感じました。
ザルツブルグ旧市街は、ホーエンザルツブルグ城塞をシンボルとしており、ローマの皇帝と教皇の叙任権闘争の際築かれたものです。地区内全てが無電柱化されているおかげで、狭い通りからも城塞と青空のコントラストを存分に望むことができ、またレジデンツ広場やモーツァルト広場はたいへん解放感のある空間となって いました。
最後に訪れたハルシュタットは、 先史に岩塩を求めたケルト民族が築いた文化を発祥とする村です。駅から渡し船に乗らないと行けない、いわゆる僻地に位置する村ですが、玲瓏なハルシュタット湖に、静謐な空気、幽玄な稜線、そして瀟洒な街並みと、要素のひとつひとつが、ため息が出るほどの美しさでした。もちろん、電柱などは一本もありませんでした。また、観光名所だけでなく、移動中の長距離特急の車窓からも、のどかで美しい村々の風景が望めましたが、そこでも電柱や架空線の数は必要最小限に抑えられており、また家屋の造りや塗りも統一されていました。
どうやらその知名度にかかわらず、「まちづくり」の概念はオーストリア全体に当たり前のように浸透しているようです。総じて、成熟した文化の素晴らしさを味わえた旅でした。そのまちづくりへの意識の高さは、ぜひ日本人も見習わなければならないものだと感じました。
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