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2017.12.21 | 社長

ガタガタ震えながら真夜中の低コスト手法の視察を終えて、今後取り組むべき課題について考えた。


元・立誠小学校

お元氣様です! 一昨日は午後7時から、京都市中京区の元・立誠小学校にて、NPO法人電線のない街づくり支援ネットワーク主催で無電柱化勉強会を開催しました!講師は、京都市建設局 道路建設部 道路環境整備課の板谷課長補佐様と先斗町まちづくり協議会の神戸副会長様という豪華かつHOTな方々にお越しいただきました!板谷係長様からは、「京都市における無電柱化に向けた取組」と題して、京都市の取り組みや先斗町の低コスト手法・小型BOXの詳細な経緯と仕様について、図面等を使って、ご説明いただきました。

171218先斗町講演会3[/caption]

参加者からは、あの幅員の狭さで、よく無電柱化ができたものだ、という声や、関西電力がこの条件でなぜ承知したのだろう、という声も挙がった。特に今回は、先斗町が京都でも最大クラスの電力需要地であり、高圧、低圧の電線がひしめいている場所ということもあり、小型BOXのサイズの検討を始め、関西電力が最大限の協力をしてることが分かった。逆に電力会社の協力なしには進まない案件であるということも言えます。しかも、さらに質問してみると、キーマンとなる人がいて、その人が前向きに対応されたことが大きいとのことでした。行政にもそういう人がいますが、電力会社にもおられるんですね!(正直あまり聞きませんが…。)そういう人が無電柱化担当として一人でも多くなれば、日本の無電柱化はさらに進みますね!

先斗町まちづくり協議会神戸氏

神戸様のお話は、2回目ですが、いやはや、面白い!奥深い京都の事情をよくご存じで、しかも、その本質をキッチリ見抜いておられるところがスゴイですね。京都市の方も来られてましたが、ズバズバ行政の問題点を指摘しておられました。まさに、痛快でした。その痛快さはの根底には、先斗町をよくしたい!という一言に尽きるように思いました。先斗町がよくなるには何が必要か、それには言いにくいこともしっかり言わなければならない、そうしないと一歩も前に進まないということをよくご存じなのでしょうね。無電柱化については、当初はあきらめておられたようですが、時代が追いついてきて、小型BOXという低コスト手法が滑り込みでセーフとなり、実現にこぎつけた。もちろんそれには、地元の商店や住民の皆さんの多大なる協力があったからだといえます。さらに、今の状況を将来にわたって引き継いでいくために『町式目』を作って、ルールを決めた。そのことで、まちづくりが分かりやすくなった。前回お話を聞いた際には、まちづくりは共通の認識が必要で、それは目に見えるもの(印刷物等)にすることが重要と言われていました。こうした、地道な積み重ねが、いまの先斗町につながっているんですね!

先斗町小型BOX施工

その後、工事の視察は午前3時(19日)から。(先斗町は飲食店が大半なので、工事開始は午前1時。そこから、準備・掘削を始めて、小型BOXの施工になるのが午前3時ごろという計算です。)18日の21時に講演会が終わって、その後、現地を見てから、待機場所の小型BOXならぬ、カラオケBOXへ。数名で歌いもせず、雑魚寝。そして、キンキンに冷えた冬の京都を満喫しに、ではなく、視察に。今回はNHKのカメラが取材をするとのこと。狭隘道路での小型BOXの施工ということで、カメラに収めたいと来られました。放送は1月中旬とのこと。

まずは小型BOXの搬入ですが、当然トラックは入りません。一つ85㎏もあるので、重量物用の台車で運んで、掘削坑内へ二人がかりで入れ込みます。小型BOXは本来1m~2m程度ですが、人力運搬用に今回は50㎝の特注とのことです。私も少し持ち上げてみましたが、かなりの重さです。一人では上がりません。今回の施工は5個、2.5mの施工でした。これは、大変ですね。工期が伸びて、人件費もかかります。材料は特注とかなりの高級仕様ですが、この幅員ではいた仕方ない面もありますね。作業員さんが慣れてくれば、この倍以上の進捗は見込めると思います。

先斗町無電柱化施工

今回、非常に寒い思いをして、施工現場を見せていただきましたが、そこで改めて感じたことは、

①何事も新しいことを始めるのは大変だということ。

②また、その大変な、あるいは面倒くさいことを推進していく推進力が必要であり、それがあれば、たいていのことはできる。

③さらには、日本の無電柱化工事というものは、お金がかかるようになっている。

と思いましたね。①は当たり前ですが、新しいことは誰かが、どこかでやらなければなりません。それには、これまでの固定的な考えを一旦、打ち捨てて取り組むだけの覚悟とエネルギーが必要で、それがないと、大胆なものは生まれない。今回の先斗町は総工事費が490mで12億円となっている。これを両側(電力、通信を分けて施工している)と換算して、総延長580m。現状の電線共同溝(3.5憶円/km)のコストで比較すると、3.5倍かかっていることになる。確かに、お金をかけてでも、京都らしい町並みではあるが…。

②はキーマンが大きなけん引力になったとのこと。京都市も、ずいぶん昔から無電柱化に取り組んでいることもあり、電線管理者との意思疎通は図れているということも大きいと思います。こうした突破力のある人たちが風穴を開けていくのだと思います。先斗町の事例を、ここだけに留めるのではなく、反省点・改良点を精査しながら、本来の低コスト手法を確立していきたいですね!

③ですが、やはり日本は電線管理者のヒエラルキーの元に、(これは電線管理者に限ったことではなく、ゼネコンでも同じだと思いますが)彼らのすべての予算が執行されていて、(当たり前と言えば当たり前ですが)、その他の新参企業などが入る余地がありません。つまり、下請け、孫請け、ひ孫請け…。その間、経費がドンドン膨らんでいく。以前、若かりし頃、ある行政の建設局のTOPと面会する機会があり、生意氣にも、同じようなことを言ったら、一喝されて(私にはそう感じた)、「それが日本の建設業の在り方というものだよ。」と言われた。身もふたもない居直りにしか聞こえませんでしたし、それを役所のTOPがゆうかなあ、とその時も憤慨したものでした。その時から、あまり変わっていないのは、最近のリニアの談合にも現れています。せめて、元請け、下請けまでにとどめれば、もう少し、シンプルで、時間(工期や意思決定など)もかからず、しかも、安価で工事ができるのになあ、と思いました。

③については、もっと踏み込めば面白い話になってきますが、あまり深入りすると、怖いものが出てきそうですので、この辺にしときます。しかし、早晩、こうしたことは改善されるのではないでしょうか。そうしないと、日本の無電柱化は世界から取り残されたままです。明日は、NPO無電柱ネットの東京活動委員会です。今回は、松原隆一郎先生の特別ミニセミナーも開催!楽しみです!

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